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芽次郎がいてくれて、本当に良かった。
そんな芽次郎は、深刻そうな顔で俺を見る。
「恵郎、お前はそのあとどうするのだ、のだ。捕まって殺されるしか道は無いぞ。いぞ。」
「…ま、そんときゃ、そんときさ。」
芽次郎の言う通りになるだろう、きっと。
しかし、今、俺の心は、久々に燃え上がっているんだ。
不思議だよな、108番。
お前と会えたのはほんのちょっとで、これから先も平穏な日々を求めていたはずなのに。
偽りの平穏なんて、過去の自分が救われないだろう?
きっと、この施設は"偽りだらけ "なんだ。
お前なら、きっと、この偽りを打ち破り、再び英雄になれるはずだ。
俺はそう信じている。
ふと、急に吐き気を催して、庭の花壇に盛大に吐瀉物を撒き散らした。
ほとんど胃液しか無く、赤い血も混じっている。
「恵郎…!だ、大丈夫か!?か!?」
「…へへ、もう、食い物も、喉を通らねぇんだ。もう時間がない。動けるうちに、やらないとな…」
俺は心配そうに見つめる芽次郎に向き直る。
「急で悪いんだが、明日の朝、決行するぞ。」
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