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俺は、始め、名前は無かった。いつしか恵郎という名前をこの施設の人たちに付けてもらったのだ。芽次郎然り。
この施設の人たちは、108番含め、大好きだ。
だからこそ、俺なりの恩返しをしないと、な。
俺は、明日に備えて早々に寝た。
そうして、朝はやってきた。
あっという間だな、時間が過ぎるのも、俺の人生も。
今日は、所長は部屋にいて、108番たち人間は授業を行っている。
エントランスホールというところで寝起きしている俺は、すぐ隣に、すでに芽次郎が起きていることに気づく。
「よう、早いな。」
「うむ。」
「よし、芽次郎。やるか。」
「うむ、うむ。」
芽次郎は吹き抜けとなっている二階へと続く螺旋階段を上り、所長室の近くまで行って身を潜めた。
そして、体育の授業を終えた人間たちが戻ってきて、エントランスホールは人で埋め尽くされる。
…お前ら、ごめんな。
俺は目を閉じて、覚悟を固めた。
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