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俺は腹の底から低い低いうなり声を上げる。
「ヴゥゥゥゥゥゥゥゥ~~」
すぐに異変に気づく、周りの人間。
「えっ、ちょっ、ちょっと、今日の恵郎、変じゃない…?」
「やだ、どうしたのかしら…」
116番、と体育着にネームプレートで書かれた女の子が、俺に手を伸ばす…
「ガァウッ!!!!」
「きゃあああっ!?」
俺はその子の袖の部分を、肉まで挟まないように気を付けて、噛む。
それだけで、周りはパニックだ。
「うわああああっ!!恵郎が、恵郎が人を襲った…!!」
「きゃぁあっ、116番!!早く、早く逃げてぇ!!」
116番の袖が千切れ、慌てて逃げ出す。
今度は俺はすぐ近くに居た65番の裾に噛み付いた。
「ぎゃあああっ!!か、噛み付かれた…!殺される、誰か…!」
65番の服がボロボロになる。
俺は、噛み付いていた服をぱっ、と離し、泡を吹きながらウロウロしてみる。
「グァウ、!!グルルルル…!!」
「ひ、ひぃ!恵郎は、狂ったんだ!正気じゃない!!」
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