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こうかは、てきめんだ。
いいぞ、良い感じに悲鳴が広がってきた。
他の授業を受けてた人間たちも、何事かと部屋から出てくる。
よし、この調子で耶麻之手所長も、釣られろ!!
「……恵郎?」
大勢のギャラリーの中から、できれば一番会いたくなかった声が聞こえた。
あーあ。どうして来ちゃうかなぁ。
108番。
108番は、唖然として、俺を見ていた。ふらりと、俺に近づく。
「グルルルルルルル…!」
「迂闊に近づくな、108番!!狂犬病なのかもしれないぞ!!」
誰かが、108番にそう告げるが、そんなことは耳に入ってない様子だ。
「馬鹿、そんなわけないだろ、だって、昨日、普通に元気に話してたんだから…」
やめろ、108番。
これ以上、別れを辛くさせないでくれよ。
俺は108番に、精一杯の脅しで吠える。
「ガァウッ!!」
「め、恵郎…」
それでも近づいてくる。
袖を噛みつく。
それでも、近づいてくる。
全く…計画が狂うだろ、どうしてくれんだよ。
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