1Dog:お前の名は!

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「ぎゃあああああああああ!!!」 響き渡る耶麻之手の絶叫。 右目を抑えて悶絶している間に、俺はふらりと所長室に入る。 ち、ちくしょう、目が霞んできやがった……… 思うように体が動かない、体もどんどん体温が奪われていく。 机の上から、さんばんめの、ひきだし…… さんばんめの、ひきだし… あ、あった、ここだ、たしかに、ひゃくはちばんの、匂いが、かすかに、残っている。 俺は取っ手を思いっきり引っ張った。 「グゥゥウウゥウ」 動かない。 腹に力を入れると、ぼたぼたと血が吹き出る。 気にしない。 口の端が切れて、血が出てくる。 気にしない。 なぁ、なぁ、108番。 俺の人生は、それなりに幸せで、それなりに楽しかったよ。 お前は? 今、幸せなのか? おれ、本当は、お前の本当の名前、知ってるんだ。
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