15Dog:8月1日

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とある街のスクランブル交差点。 大勢の人が行き交う中、人々は出勤、通学、目的の場所に行くため歩き続ける。 街頭のテレビではニュースが流れていた。 『…次のニュースです。 "新狂犬病"感染者による新たな事件が発生しました。被疑者は"新狂犬病"感染が疑われていた会社員男性、秋本氏。 この"新狂犬病"は、原因不明の新たな感染病として、各地で感染拡大が…ー』 人々が足早にスクランブル交差点を過ぎていく中、一人だけ立ち止まった者がいた。 気にする風も無く、周りは避けながら進んで行く。 「……違う、違うはずだ、おれは大丈夫……水が、水を、水で、いや、人が…、こわい、月明かりが、まわり、ひとの、み、ず・、み、み、みみみずみみみみみ、みみみみ、み。」 男はうつむき、顔を覆うようにしてブツブツと小言を呟いていた。 交差点を渡りきると、ついに男はしゃがみこむ。 流石にその様子に男に注目が集まった。 「あ、あのぅ、大丈夫ですか?」 一人の中年の女性がしゃがみこむ男に話しかけた。 男は顔を覆ったまま、荒い息をしながら女性を指の隙間から見る。 「な、ナちスドイツノたイぐんが、攻め、リテ、死体ノ緑が、優シい目玉ギ二、天使ノ来たりテ、 ダ だ、 ギ、 ギ」 『"新狂犬病"患者の末期症状は、言語障害、続いて爪と牙が異様に発達した後、人を襲うようになります。 感染者を見た場合は近づかず、直ちにその場から避難して下さい。』 男の爪は長く伸び、口の端から牙がはみ出していた。
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