つーわん

10/24
前へ
/176ページ
次へ
「先生は手出し無用!」 「むようー!」 二人にぴしゃりと言われてしまう。 …と同時に、小動物のような潤んだ瞳のマメ太と目が合う。 「きゅーん…」 「ぐぅ、先生心が苦しい!!」 しかし、ここは責任感の強い大塚に任せるべきだと決心した。 西堀は小さい時から大塚を知っている。西堀が親代わりだから、大塚の心身共の成長は見ていて微笑ましかった。 「そぉーら!休んでいる暇は無いぞ!動け!働け!汗水流せ!血も流せ!」 「きゅわーーん!!!」 ……………ちとスパルタな気はするが。 そうしていつの間にか日が暮れ、午後になっていた。 昼頃にマメ太は来たので、もうかれこれ4時間は外にいることになる。 「おーい、もう部屋に戻ろうよー。」 西堀はそう呼び掛けたが、大塚、與儀、マメ太の三人はいつの間にか庭の広場の真ん中に集まっていた。 「ちょっと待って、あとこれだけ!」 與儀は西堀を手招きする。 見ると、大塚とマメ太が真剣に見つめ合っていた。 「よし、言えるな?俺は、おーおーつーかー」 「おーおーうーあー」 「次、ひーなーとー」 「いーあーとー」 (おお、名前覚えさせてるのか!) 齢7歳にして、そこまでやる大塚に感心する。
/176ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加