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「うがぁぁぁあああっ!!ぐぁるるるるるるるるるるるる!!!」
「け、圭太!?どうした、落ち着け!」
突然、鏡を見た途端豹変したマメ太に、流石に西堀も唖然として反応が遅れた。
これは、何だ?トラウマの一種か?
いや、病院側からはそんな説明は一切受けていなかった。
鏡に激突して、額から血を流すマメ太を後ろから羽交い締めにする。
これ以上は危険だ。
「大塚!與儀!鏡を布か何かで隠してくれ!」
同じく茫然と見ていた二人は、西堀の言葉にはっと我に返り、布を被せるため、近くのカーテンを二人係で引きちぎった。
「ぁぐぁぁあああ!!!ぐるるるるる!!!ぐるるるるる!!!」
「圭太、圭太!俺の声が聞こえるか?しっかりしろ、自分を保て!」
ケイタ、と西堀から声が聞こえる。
マメ太のご主人様の名前は、すぐに聞き取ることができる。
ご主人様、ケイタ、そう、ケイタがすぐそこにいるんだ。
すぐそこに、すぐそこに!
マメ太は考える。
ケイタが目の前にいるのに、どうして押さえつけられているんだろう?
マメ太は考える。
どうやったら、ケイタがそこにいることを伝えられる?どうやったら?
マメ太は考える。思い出す。
先程の、大塚とのやりとりを。
人差し指で、大塚自身を指す。
『俺は、おおつか、ひなと。』
次に、マメ太を指す。
『お前の、名前は?』
確か、指は、こんな感じだった。
マメ太は、西堀の方に振り向いた。
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