わんわん。

3/6
前へ
/176ページ
次へ
パタパタと、何かが近づいてくる音がする。 その音を聴いてマメ太はピタリと叫ぶのを止めた。 その何者かの中に、マメ太の大嫌いな匂いが混じっていたからだ。 扉がガラリと開く。 最初に入ってきたのは、白衣を着た病院の先生。次に入ってきたのは… 「おや、圭太くん…?け、圭太くんが目を覚ましましたよご両親!!!」 「あー…何だ、生きてたか。」 「あらホント。なら、来なくても良かったわね。」 マメ太の心の中から、ふつふつと怒りが込み上がる。 ギリリと奥歯が割れんばかりに喰い縛った。 こいつらは、敵… ご主人様を…ケイタを、いつもいじめていた!! 嫌い、嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い 噛む!!!!! 「がぁぁっ!!!」 「うわっ!?」 「きゃあっ!?」 「け、圭太くんっ!?」 許さない、俺、知ってる。いつもご主人様はこいつらにいじめられてた!! 「ぐぁるるるるる…!!」 マメ太は、いつも窓越しからご主人様である圭太を見ていた。 時には殴られ、時には御飯抜き、時にはベランダに出して放置… マメ太は犬で、確かに人間よりかは賢くない。何をしているのか分からないことが大半だっただろう。しかし、その分人間の悪意をダイレクトに感じ、やっている行為も悪いことだと感じていた。
/176ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加