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マメ太のご主人様は餌をくれた。撫でてくれた。愛してくれた。
圭太はマメ太に愛情をたっぷりと注いだ。
しかし、圭太の両親はそんな圭太をいつも酷い目に合わせていた。
腕をギリギリとありったけの強い力で噛む。
「う、うわあああ!血、血が出てきたぞ!?おい、どうなってるんだ、医者ぁぁ!!」
「きゃああああっ、あなた!!ちょ、誰か!誰かぁ!!」
この二人は間違いなく、自分と圭太の敵。しかし、圭太と同じ匂いであることが、どうしてもマメ太の本気の邪魔をする。
血の繋がった家族なのに、どうして子供を愛せなかったのか。
今更の説明になってしまうが、マメ太は、犬だ。正真正銘の犬。
そして、その犬のご主人様である少年圭太は、マメ太と共に事故に遭い、重傷を負った。
そして目を覚ました。しかし、目を覚ましたのは圭太ではなく…
中身は正真正銘の、マメ太となってしまった。
犬が、齢7才の少年となり、入れ替わってしまったのだ。
犬は、人間よりも素直で、忠実で、人間の複雑な考えなどできない。
でもこの時のマメ太は、生まれて初めて、複雑な心境になった。
自分の行動がそもそも正しいのか悪いのか、判断がつかずにそっと噛む力を緩める。
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