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「わ、…わんわん……」
「ぅぅっ、く、くそっ、この欠陥品が!!事故にでもあってりゃ、少しは頭の回転が早くなるかと思えば…!会話もできねぇポンコツになりやがった!」
マメ太は何を言っているのか理解できない。しかし、悪意を向けられていることはひしひしと感じた。
「てめぇなんか、事故でしんじまえば良かったんだ!!あのクソ犬と共にな!」
事故から生還した息子に向けて言う言葉に、流石に医者も驚いて止めにかかる。
「ゆ、有楽(ゆうらく)さん、なんてことを…!」
「あなた!医者の前で、そういうことはちょっと…ね?」
「お、奥さん、医者の前じゃないでしょう、息子の前でしょう!?」
ガヤガヤと、何か言っている。
でもマメ太には、オロオロと、現状を見つめることしかできなかった。
マメ太には、今自分の体がご主人様の圭太になっていて、人間になっていることなど、気づかないし、どうでも良いことだった。
ひと騒動終えた夕方、病院の個室の扉を開け、再び来客がやってきた。
かと思えば、圭太の母親だった。
「有楽の名の恥よ。もう、お前とは縁を切る。さよなら。またあの人と子作りして、もっと有能な子を育てるわ。
じゃーな、欠陥品。」
「わ、わん…」
何を言っているのか分からないが、とりあえずマメ太は、「お…おう…」という感じで答えていた。
そして、圭太中身マメ太は両親から縁を切られ、孤児になった。
6才からの人間in犬の人生はどうなるのか、まだ誰にも分からない。
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