第1章

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私はいつまで「人の支え」になる犠牲になればいいのだろうか… だけどそれはもう昔の話。 とても寒い冬の夜、雪が降ってきた。 キンっとした空気の中に雪は訪れる。 手が凍りそう、耳も鼻も真っ赤であろう。 だけど中には入らない。嫌いじゃない、この空間。 ただ一人の空間で静かに煙草を吸う。 やめろと周囲に言われようと未だ禁煙していない。 習慣じゃない、こんなにも美味しい。 誰もわからないんだよ、この至福が。 なんてね…戻らなければ、店に。 夢の、儚く散る夢の世界に… 「スイマセーン、戻りました♪」 「おぉ、もう時間だから!頼むね、延長♪」 「任せてくださいね♪」 輝かしいくらいの世界は全て嘘で固められている。 友情も恋愛も信頼も何もかも。 華やかな裏に潜む大きな闇。表から来るものは決してわからない、わかった気でいる。 目が霞んでくる。街は光輝いているのに、綺麗なお洋服だって着ているのに、笑顔で溢れているのに… いつだって虚しい。笑顔でいれば心も明るくなるって誰が言ったの?
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