第1章

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夕方に起きて、朝方帰ってくる。 日の光はあまり浴びないから、一生懸命にお化粧して健康そうに作っていく。 ポイントは頬と唇。赤、ピンク。 とにかく血色を良くするに何度も鏡とにらめっこだ。 たまに昼間に外に出るとひどく顔色が悪い。 それはそうだ、偽りの世界に踏み込んでから外に出ないから近場の近所と年に数回の遠出、のみ。 「行ってくるね、早く寝んねしなさいね?」 「はーい!行ってらっしゃい!頑張ってねー。」 兄弟三人の寂しさを隠した笑顔で見送られる。 私は苦しいが知らないフリをする。 本当は一緒に布団に入って寝たい。夕飯も今日あった出来事を聞きながらゆっくり食べたい。 一緒に風呂に入ってわいわい賑やかにくつろぎたい。 休みの日だけなんて寂しいよ。 今日もまた、光輝く儚い世界に飛び込んでいく。 「お疲れ様でしたー♪また明後日ですね!」 「はいー、お疲れ様ね!」 …やっと休みだ。今日は久々にみんなで買い物にでも行こうか。 「お疲れ様です。」 「お疲れ様です、お願いします。」
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