第1章

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やばっ。泣きそう、この歳で泣くとか恥ずかし過ぎる。 「この辺でいいんだっけ?どこで降りる?」 「そこのコンビニで大丈夫です。」 あっ。声低くなっちゃった。 機嫌悪いとかじゃなくて、あぁどうしよう。 「あいよー。お疲れ様ね。」 「…お疲れ様でした…。」 岡本さんは気にするでもなく涼しい声で車を走らせた。 たぶん、年はいってる。けど、若い。 見た目もだけど雰囲気というか…オトナの色気というか… もう少しこっち見ないかな、顔見えないんだけど… いつもなら目を瞑って家までの道のりなんでどうでもよかったのに、 外を見つつ風景なんて見てるだけで頭の中に入っていかないのに、 ネオンの光なんかうざったいだけなのに… たかがドライバー、しかも初めて会ったおじさんと話しただけで泣きそうになるなんて馬鹿げてる。 40代くらいかな…お客さんの年齢じゃん。 そうそう、疲れてるんだよ。 お酒も多少飲んだし、朝方だし、連勤続きだったし… 顔…。 横顔だけか…。
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