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「朱雀のところも、頭はいいようですが青龍のやり方とは相いれないように思います」
「でもあそこの若頭は結構しっかりした奴でしたよ?」
「ああいう輩は計算高く狡猾だ。侮れない」
酷い言いようだが、言いえて妙だろう。
「それに、若も彼のことは恋人としては見れないと思います」
「それは俺もわかります。彼は恋人というより良くて友達、それか弟って感じですね」
佐竹も会話に加わった。吹っ切れたのだろうか。
「じゃあ最後は白虎か。あそこの若頭ならありなんじゃないか?それなりに力もあるし、しっかりしてるだろ」
萩原は肯定的に言ったが、他の三人は渋い表情のままだ。
一番に難を示したのは羽柴だった。
「いやあ、ああいう男は歯止めが利かないもんっすよ。多分裏の顔は狼っす」
「以外に腹黒い気がしますね」
「同じく」
散々だ。
ただ認めたくないだけなんじゃないか。それともこの三人の考え方が捻くれているのか。
萩原は笑うしかなかった。
すると、我慢ならなくなったように佐竹が椅子から立ちあがった。
「…駄目ですね。こうして想像を膨らましているだけでは真相にたどり着くことはできません。俺、若さんに直接聞いてきます」
「え、」
驚く萩原を横目に、粟島と羽柴も立ち上がる。
結局はそれが一番手っ取り早いだろう。
三人は連れだって会議室から出て行ってしまった。
一人取り残された萩原は、困ったように頭を掻き、腰をあげる。
「ったく、心配性な部下だ」
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