79人が本棚に入れています
本棚に追加
「…やっぱりなんかあるんすよ」
一通りの出来事を聞いた羽柴は、開口一番そう言った。
その言葉に、会議室で机を囲んでいた佐竹と粟島は難しい顔をする。
「ねえ萩さん!おかしくないッスか!?」
二人の反応が鈍かったからか、羽柴はバンッと机を叩き、机を囲むもう一人の人間萩原に詰め寄った。
しかし問いかけられた萩原は苦笑いを浮かべて頭を掻いている。
最近の龍臣の異様な態度を羽柴、粟島、佐竹の三人までもが感じていたのだ。やはり龍臣はなにか隠している。
最初にそう言いだしたのは羽柴だった。
その言葉に少しの相違はあれど、龍臣の様子がおかしいということには佐竹も粟島も同意した。
そんな意見から開かれたこの会議(?)。
最終的な判断を出してもらうためにも、仕事の合間を縫って萩原にも参加してもらった。
「坊ちゃんの様子がねえ…?そんなに過敏になるほどのことかね?」
「萩さんは最近出張でいなかったじゃないッスか!まじでおかしいんすから!」
「羽柴、落ち着け」
わからないと眉を潜める萩原に声を荒げる羽柴を粟島はなだめた。
羽柴が龍臣のことを案じているのはわかるが、一応相手は幹部長だ。
粟島になだめられたことで少し冷静を取り戻したのか、羽柴は申し訳なさそうにすんませんと平謝りした。
「まあ確かに俺は実際に坊ちゃんの様子を見てねえからな…。んじゃあ、お前らは坊ちゃんが何を隠してると思ってんだ?」
とにかくは話を合わせることにしたのだろう。萩原は問いかけた。
三人は腕を組み唸った。
いざ聞かれると、これといったものが浮かんでこないのだ。
龍臣は面倒臭がりで不器用な所もあるが、あそこまで挙動不審になりながらも隠さなければならないことがあるのか。
最初のコメントを投稿しよう!