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しかし三人の予想以上の反応に、思わず笑ってしまいそうになる。
ここまで反対意見しか出ないとは。
「それに、どこの馬の骨かもわからない相手を認めるというのも酷というものです」
「馬の骨って…まじで言う奴初めて見たわ」
腕を組んできっぱりと告げた粟島の言葉に、羽柴もその通りだと言うように頷いた。
「なら、例えばどんな子ならいいんだ?」
机の上に肘をつき、萩原は問う。
口を開いたのは羽柴だ。
「まあまずは容姿端麗じゃないといけないッスよ!若の隣に並んでも見劣りしないくらい」
「外見だけよくても駄目だろ」
「そりゃそうだ。だからまずはの話」
いきなりレベルの高い要求に思われるが、龍臣自身がそこいらのモデルなんかよりも整った顔立ちなのだ。その条件は仕方のないことともいえる。
「問題は性格だな」
粟島の言葉に、羽柴は唸る。
「若についていけるような女じゃないとダメっすね。我慢強いとか?」
「溜め込むようなタイプは無口な若とは反りが合わないだろう」
「じゃあ豪快で強気とか」
「若さんはあれでいて我が強いから、喧嘩になるんじゃないか?」
「なら優しくて守りたくなるような」
「あまりか弱いと次期頭首の妻としては相応しくないな」
「お前らどんな相手でも認める気ないだろ」
三人のやり取りに、我慢できなくなった萩原は呆れて口をはさんだ。
このまま羽柴がどんな性格を出そうとも、二人は何かしらの理由をつけて却下しそうだ。
それほど若頭である龍臣の性格や立場を考えているのだろうが、ここまでくると救いようがない。
龍臣は昔から人の心を掴むのが上手かったが、掴んだ相手がはがれなくなるというのも考え物だ。三人には悪いが。
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