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高鳴った胸がまだ鎮まらない。生まれてはじめてのことだ。
つい30分ほど前のこと。
会社の新年会を終えて帰路につこうとしたとき、突然呼び止められた。
「前島さん」
2つ先輩の太田さんだった。
「駅までいっしょに行こうよ」
「はい、いいですよ」
「近道知ってるからさ、付いてきてよ」
そして二人して他の同僚たちと違うルートを行く。
太田さんは趣味の釣りについて、あれこれと語りはじめる。
それほどおしゃべりの得意じゃない私は聞き手に徹した。
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