わたしの気持ち

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新薬が効いたのか、私は1週間ほどで前と同じくらいに回復した。 日課になっている体重計の針はそれでも-3kgを示していたが、倒れている間は殆ど点滴だけだったので減ったのかな・・・そう思っていた。 「病状は安定しましたね。 血圧も、脈も・・・そして、朝の血液検査の結果も倒れる前以上にいい数字を出していますよ。」 彼が、私の体温計を見ながら言った。 「お世話を掛けます・・・。」 私は何故か素直にそう答えていた。 心の中では早く・・・動けるうちに・・・そう、身体が言う事を聞くうちに生の喜びを噛みしめたかった・・・。 しかし、相手が主治医では・・・大人しくしているしかなかった。 「今日から、粥食に戻します・・・それで体力が回復すれば、また外に行きましょう。」 彼はそう言うと、私の顔をじっと見た・・・。 「有難う御座います・・・。」 私の言葉に、彼は言った。 「まだ・・・敬語なんですね。」 「だって、先生ですから・・・。」 私がそう答えると、彼は落ち込むでもなく・・・笑って言った。 「例の倶楽部で・・・君を待ちわびている人がいる・・・。 次の開催日まではゆっくりとね。」 私は・・・無言で頷くと・・・部屋を出て行く彼の後姿を見ながら思った・・・。 また、あすこへ行ける・・・あすこでお金を稼いで・・・私は夜の街で・・・今まで知らなかった楽しみを知ることが出来るのだ・・・。 私はそう思うと嬉しくなって・・・窓の傍に行ってカーテンを開けた・・・。 眼下には宝石を走らせるかのようにビルの灯りや、車のライトが・・・眼下一杯に光っていた。
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