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「顔色がいいですよ。」
彼が私の問診に来た時ぼつりと言った。
「貴方が下さるお薬が、よく効いているのだと思います。」
私は、脈をとる彼の顔を置見ながら答えた。
脈を診ながら頷く彼に向かって・・・私は言った。
「次の会合は?」
私の言葉に、彼はまるで興味のない事の様な顔をして私に言った。
「しばらくは無いようですね・・・。」
「そうですか・・・。」
私のがっかりした様子に彼は言った。
「遊びに行くお金が足りないのですか?」
「・・・。」
私が無言で答えると、彼は言った。
「少し、ゆっくりされるといい・・・あまり動き回ったり、刺激の強い物を飲食するのは紡機によくないと思います・・・。」
そして・・・一瞬・・・呼吸を置くと思い出したように言った。
「ああ、貴女が懇意にしていたエステシャン・・・今日から出張でお呼びすることにしました。
これなら、私も安心です・・・。」
彼の言葉は・・・私から翼をもぎ取る様な表現だった・・・。
すこし・・・顔を上げ・・・じっと彼の瞳を見詰めると・・・彼は私の瞳を見据えながら言った・・・。
「先ずは養生です・・・それからですよ、会合に行ったり夜の街で騒ぐのは・・・。」
彼の言葉に目をそらした私に、彼は・・・私の頬にそっと・・・手を置いて言った。
「僕だって・・・ますます・・・美しくなる貴女を見るのが楽しみなんです・・・だから・・・。」
彼の言葉に、私は・・・小さく頷いていた・・・。
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