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センテンツァは下った・・・。
各人が各々私と過ごせるようにとの事だった。
いつもは傲慢そうに聞こえたストレイガーの言葉も、何故か・・・今回だけは力なく聞こえた・・・。
私は、一番積んだ物へ権利を渡すだけにしておけば良かった・・・と後悔しつつも、1時間を優に超えるデリット(報酬)を貰えることについて不謹慎な喜びを感じ得ずにいた。
私は・・・左足へ25枚の金貨を積んだモナコの被る緑色のマスケラの奥にある深淵の様な瞳の奥を見詰めながら左足を差し出した・・・。
モナコが行う全ての禊が済んだ後・・・私はストライガーに連れられて、いつもの様にシャワールームに入った。
中には何人かの私と同じサクリフィーチョがいて、知り合い同士なのだろうか・・・今風の言葉遣いでぺちゃくちゃと話をしながら身体を洗っていた。
私も、熱いシャワーを浴びて・・・男たちから貰った体臭と言葉には言えないが・・・何かねっとりとした感じの何か・・・を何回も何回も洗い流した。流れていく水を目で追いながら私は思った。
もう穢れは洗い落とすことが出来ないのだ・・・。
閃いた様な感覚に私はその場に座り込んだ・・・ストレイガーの一人が心配して私に声を掛けてくれたけれども、私の心には何も届かなかった・・・。
そう、私の心の中ではある一つの考えが次第に形になって行きつつあったのだ・・・。
黒く歪んだ何か・・・もう少しでその正体がはっきりする所で私は意識を失った・・・。
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