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私は、ただ病室でじっとしていた。
焦るのは良くない・・・私はそう思っていた。
私の心の中では、もやもやとした何かが形になろうとしていた。
彼は相変わらず優しかった。
診察も丁寧でいつも私に気遣いを見せてくれた。
薬は変わらなかった・・・。
何日目かの診察の時・・・彼は「栄養剤を打ちましょう。」・・・とそう言うと、注射を打った・・・。
打ち終わって直ぐ・・・身体に活力が湧いて出るのを感じた。
私は彼に言った。
「え・・・何これ・・・急に効いて来たけれど・・・。」
私の言葉に彼は答えた。
「アメリカで軍隊が使っている栄養剤ですよ・・・日本では未認可なんですが、たまに私も疲れたとき使いますよ。」
彼はそう言って笑った・・・。
外出の許可が降りたのは思ったよりも早かった。
私は何時もの様に、何軒かの店を回った・・・そこでは私は女王様扱いだった・・・。
彼の打ってくれた薬のせいか、疲れやすかった身体が・・・疲れを感じなくなっていた。
いつもは日が変わるくらいには疲れて帰ったものだったが、その日は最後まで遊んだ・・・。
そして、私は・・・恋をしてしまったらしい・・・お店のホストに・・・いつも私が来ると着いてくれるホストだったが、彼にはない・・・格好の良さや逞しさ・・・話術・・・私はその男に完全に惹かれていた。
彼に悪い・・・不思議なことに一瞬たりともそう思う事は無かった・・・。
何故だろうか・・・私はそのホストの腕に自分の両腕を回しながら・・・そんな事を考えていた。
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