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照明の無い暗い通路を手探りで歩きながら、私はその通路の先に一筋の光明を見付けることが出来た。
その光の中に飛び込んだ時・・・私は目を覚ました。
目を開けると・・・天井には眩しいほどの灯り・・・これは、手術用のライト・・・?
私はその眩い光を遮ろうとしたが・・・身体は全く動かなかった・・・。
多分・・・何かに横になっている筈なのだが・・・いくら体中に力を入れても私の身体は石にでもなってしまったかの様に動かなかった・・・。
「やあ、気が付いたかね?」
私の頭の後ろで彼の声がした。
私は多分・・・唯一動く瞳で彼の方を見た・・・。
彼の姿は光の中に溶け込んでいて見ることは出来なかったが、声だけは聞こえた・・・。
「薬を打っているからね・・・しばらくは動けないよ。
それに・・・次に目を閉じたら・・・君は、天国にいるからね・・・。」
天国・・・?私はその美しい言葉から反対におぞましい印象を感じた・・・。
「いい商売だったよ・・・君の右腕が1,500万、左腕が1,200万・・・右足が2,000万・・・世の中には殊勝な人が多い・・・だから僕の副業も安泰なんだ・・・。
ああ、残った君の身体は僕が、最高の剥製にしてあげるよ・・・皮膚も肉も人造の極上品に取り換えて・・・永遠に生きている様にね・・・。」
私は動く目で・・・隣の台の上をかろうじて見た・・・そこには無造作に置かれた札束が一瞬私に目に映った・・・。
彼は私の行為に気付かないまま・・・私の頬に手を当てて言った・・・。
「どんなに、この日が待ち遠しかったことか・・・壁は完全でないからこそ美しい・・・欠損している箇所・・・さあ、そこをどうやって埋めようか・・・機械で?それとも同じように・・・?それとも芸術品の様に想像で・・・?」
彼は大胆にも私の頬から・・・喉・・・胸へと手を這わせてきた・・・。
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