そして・・・

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彼が戻って来たのは、それから何時間後だったか・・・私には何日にも感じた・・・。 右手の下に隠した手術用のメス・・・不安になり、私は何度も何度も確かめた。 落ち着くんだ・・・大したことはない・・・昔、気に入らない子をみんなで虐めた・・・その時、みんなで棒で叩いて殴って・・・そうそんな程度・・・。 あからさまに私を殺そうとする彼に遠慮は無用・・・だって私は生き残らなければならないから・・・。 やがて、ドアが開く音がした・・・。 私は目を閉じ・・・薄い呼吸を小さく繰り返した。薄い明りの中・・・私は薄く目を開けて彼の動向を見た。 彼は、私の傍に寄ってくると・・・そっと私の額に手を置いた・・・。 その瞬間・・・彼の顔が苦痛で歪んだ・・・。 私の右手に持った手術用のメスは見事に肋骨の下に刺さった。私はそれをねじる様に引き抜いた。 「ん・・・・んんん・・・。」 彼が膝から崩れ落ち、床にうつぶせになった・・・。 私はベッドから飛び起きると・・・彼が持ってきた道具の中から見つけておいた金属製のハンマーで・・・思い切り彼の後頭部を叩いた・・・血液がピュッと・・・噴き出した。 それでも彼の動きは止まらなかった・・・。 私はもう一度叩いた・・・そして、さらにもう一度・・・潰された虫のように蠢いていた彼は・・・広がってゆく赤黒い血の中で漸く、動きを止めた・・・。 私は・・・お金の入った古い鞄を掴むと、彼の・・・もう動かない彼の傍に古い鞄を抱えながら座った・・・。 息が苦しい・・・息が・・・。 私はそれでも幸せを手に掴んだと考えていた・・・。 何時まで生きられるか・・・でも・・・その時は笑って死んでやろう・・・。 私はそう思って・・・一人小さく笑った・・・。
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