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壁に凭れた女が俺を見ている。
周りには朽ちかけた材木とガラス片が散乱している。
懐中電灯の光に照らされたその目玉は、黒髪の隙間からただじっと俺を見つめている。
猿轡に隠された唇は、どのような表情をしているのだろうか。
小屋の外から梟の鳴き声が響く。
建物が古いからだろうか、小屋の中にも声が入り込み、酷く反響するように感じられる。
懐中電灯で女の体を照らす。紺色のセーラー服に包まれた華奢な胴体、ピンとやわらかく伸びた足、くっつけるように縛られた両手の無加工ながらも整った爪が、懐中電灯の光をこちらへ反射する。
苦労して買った医療用のノコギリを持つ手に汗が伝う。
大事の前は、やはり神経が張り詰める。
ようやく、この女を滅茶苦茶に出来るのだ。
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