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東京、神田。数多くの書店が軒を連ねるこの街のとあるビルにある、大手出版社、冠出版。その中の編集部のデスクの一つに、葛西桐人(かさいきりと)はいた。ネタ探しに海外のサイトを覗いていると、同僚の松島(まつしま)が彼に話しかけた。
「おい葛西、編集長から資料室の整理を言われてんだが……お前今ヒマだろ?」
「お前がやれって言われてんだろ? お前がやれよ。俺は今ネタ探しに忙しいんだ」
「も、もちろん俺はやるよ。でも一人じゃ片付く量じゃねぇんだよ。大体、そんなだらけた格好で調べたって無駄さ。おら、諦めて立ちな」
渋々葛西は立ち上がり、資料室へ向かった。
「……何だ、この紙の山は」
資料室に着くなり、葛西は息を呑んだ。葛西を迎えたのは、天井まで届こうかという程の書類の山、山、山。いくらヒマとはいえ、これを一人でやらせるのは鬼である。
このまま立ち尽くしていても仕方がない。二人は整理に取り掛かった。
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