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シルバーで楕円形の宇宙船がはるか上空に飛んでいく。
殿下とユリアナ、倉科は顔を上げて見送っていた。
きらりと森本は、得体の知れない男女とともに宇宙に旅立ってしまったのだ。
宇宙船が見えなくなると、3人は顔を正面に戻した。
3人はものも言わず、畑に背を向けた。そのまま歩きだそうとしたが、足が止まった。
1人の男が3人に向かって走ってくる。
セミロングの髪をふり乱し、赤いヘルメットを小わきに抱えている。しかも赤いヒーロースーツを着ていた。
「殿下! それに倉科くんも」
森本だった。
「森本さん!? 宇宙船に乗ったはずじゃ?」
倉科は空と森本を忙しく見比べた。
森本はわけがわからず「は?」と首をかしげた。
「こっちの森本さんが本物っすね?」
倉科は今度は森本と殿下を交互に見た。
殿下は黙っていた。
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