さようなら、XXX

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さようなら、XXX

付き合ってる人がいる。 180を超える長身に、人のいい笑みを浮かべる整った顔立ち。 週に数回は可愛い女の子に呼び出されて告白される、という無駄にモテる彼。 そんな彼に告白され、最初の頃は断っていたのだが、結局は絆され、付き合うことになったのが2年ほど前のこと。 でもこの付き合いにはちょっと、いや、結構な問題点がある。 それは、──僕が男だ、ということである。 つまり、同性愛というやつだ。 男子校に通っているならまだしも、っていうのは偏見なのかもしれないが、僕たちが通っているのは共学校。普通に考えて、オープンに付き合ってます宣言なんて出来るわけもなく。 誰にもなにも言わないまま、…言えないまま、付き合っていた僕たち。 だけど、昨日見てしまった。 彼が、同じ学年の、同じクラスの、よく可愛いと噂されている女の子と、──キスをしている所を。 優しい性格の彼は、好意をもって接してくる女の子たちのことを無碍にはできず。付き合いだした頃は、うまいこと女の子たちをかわしたりしてたけど。 いつからだろう、むしろ自分から積極的に女の子に絡むようになったのは。 放課後や休日に遊びに行こう、と誘われるのをやんわりと断って、家の中という人目に付かないところと限られてはいたけれど、僕と一緒にいてくれた彼。 いつからだろう、僕との約束をすっぽかして、彼がよく外に出るようになったのは。 もしかしたら、僕が初めて見たのが昨日のだったというだけで、これが初浮気というわけではないかもしれない。 というか、浮気といってもいいのだろうか。もしかしたら僕の方が浮気相手なのかも。 そもそもまだ僕たちって付き合ってるのかな。最近連絡もとってないし、自然消滅だったりして。 などと考えていると、彼専用に登録してあった音楽が流れた。着信だ、めずらしい。 この際だから前から言おうとしていたことを告げよう、と電話をとり、彼がなにかを言うのを制して、 「さよなら、───、」 付き合っている人が、いた。 お題元:瑠璃 このあと焦る浮気攻めください
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