34人が本棚に入れています
本棚に追加
さようなら、XXX
付き合ってる人がいる。
180を超える長身に、人のいい笑みを浮かべる整った顔立ち。
週に数回は可愛い女の子に呼び出されて告白される、という無駄にモテる彼。
そんな彼に告白され、最初の頃は断っていたのだが、結局は絆され、付き合うことになったのが2年ほど前のこと。
でもこの付き合いにはちょっと、いや、結構な問題点がある。
それは、──僕が男だ、ということである。
つまり、同性愛というやつだ。
男子校に通っているならまだしも、っていうのは偏見なのかもしれないが、僕たちが通っているのは共学校。普通に考えて、オープンに付き合ってます宣言なんて出来るわけもなく。
誰にもなにも言わないまま、…言えないまま、付き合っていた僕たち。
だけど、昨日見てしまった。
彼が、同じ学年の、同じクラスの、よく可愛いと噂されている女の子と、──キスをしている所を。
優しい性格の彼は、好意をもって接してくる女の子たちのことを無碍にはできず。付き合いだした頃は、うまいこと女の子たちをかわしたりしてたけど。
いつからだろう、むしろ自分から積極的に女の子に絡むようになったのは。
放課後や休日に遊びに行こう、と誘われるのをやんわりと断って、家の中という人目に付かないところと限られてはいたけれど、僕と一緒にいてくれた彼。
いつからだろう、僕との約束をすっぽかして、彼がよく外に出るようになったのは。
もしかしたら、僕が初めて見たのが昨日のだったというだけで、これが初浮気というわけではないかもしれない。
というか、浮気といってもいいのだろうか。もしかしたら僕の方が浮気相手なのかも。
そもそもまだ僕たちって付き合ってるのかな。最近連絡もとってないし、自然消滅だったりして。
などと考えていると、彼専用に登録してあった音楽が流れた。着信だ、めずらしい。
この際だから前から言おうとしていたことを告げよう、と電話をとり、彼がなにかを言うのを制して、
「さよなら、───、」
付き合っている人が、いた。
お題元:瑠璃
このあと焦る浮気攻めください
最初のコメントを投稿しよう!