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おねがいどうか
『映画ドラマのみならず、バラエティーでも絶大な人気を誇る相田亮介さんについに熱愛報道が!』
『私すっごいファンなんですよー!』
『ええ、モデルでこんな可愛い美優ちゃんもそうなの?相田さんってば罪な男だねー』
『でも、熱愛撮られたのって、この間ドラマで共演してた女優さんの、──』
ブツ
つけたままにしていたテレビから流れるそのトーク内容に、腹が立って電源を切る。
今朝がた家に押し掛けてきたマネージャーに見せられた、自分がネタとなっている熱愛報道。
来年の春上映する予定の映画に出演する役者の顔合わせで出会わせたところを、ツーショットよろしく撮られたらしい。俺のすぐ後ろに他の共演者いるのに…!
なんだ、「この前のドラマぶりですね」なんて話をしてたのが悪かったのか。
映画の話題にもなるから、と本当のことを口にするのを止められている。どんな理不尽だ。ふざけるな。
最愛の人に、「これは勘違いだ」ということを知らせたい。
知らせて、安心させたい。…安心したい。
前回このような報道がされた時の、俺が弁解にいったときの、彼の表情が気になる。
ホッとしたような、でも悲しんでるような、──諦めたような。
前回の件を考え、今回の件のせいで変な方向に思考が進みそうな恋人のケータイへと電話をかけるが、いっこうに繋がらない。
なんで、なんで。なんで、繋がらない…?
早く恋人の声を聞きたい。
声を聞いて、今回も報道陣の勝手な思い違いだと説明したい。
説明して、「わかってるよ、そんなこと」なんていつもどうりの声を聞かせて欲しい。
本当は、家に行って直接説明したかったのだけど。
この後すぐにロケ地に向かって移動しなければならない。
ああ、早く電話に出てくれ。声を聞かせてくれ。
──鳴り続けるコール音が、鳴り止むことはなかった。
お題元:──
人気芸能人(相田亮介)×幼なじみ恋人
実はひっそりと、どこかで受視点を書いてたり書いてなかったり。
お題元はありません。そこらのの頭の中です。
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