さけぶ

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さけぶ

僕には、好きな人が居る。 周りにはいつも人がいて、いつも楽しそうにしてる人気者。 分け隔てなく、僕みたいなのにも笑いかけてくれる。 そんな彼に、僕は恋に落ちた。 『お前ら、いつから付き合ってたんだよ!』 『聞いてないよーっ』 今日の昼休みに耳へ入ってきた、彼と──彼の隣に立つ女子にむけられた、非難めいた複数の声。 『実は一昨日から、な』 『だめもとで告白したら、オッケーもらっちゃった!』 チクショーついにお前もリア充かよ、梨奈おめでとー、どうせなら付き合った日に報告しろよ、梨奈のこと泣かせたら許さないからね。 色々な声と言葉が飛び交う教室の中心で、恥ずかしそうにはにかむ彼とその隣に寄り添う彼女の姿が、視界の端にうつって、──滲んだ。 元々、叶うはずのない恋愛感情だったけど。そう割り切ってはいたけど。 「失恋かぁ、」 その事実は、僕の胸を締め付けてきて。 慣れないその痛みに、顔をしかめて。 ……あぁ、痛いな。 なにかの特集で、叫ぶとスッキリすると言っていた気がする。 柄じゃないけど、僕も便乗してみようか。 「(好きだ。好きだ、好きだ好きだ好きだ…っ)」 叫ぶ。 (こころのなかで) お題元:── 人気者←地味 心の中で、人気者←地味←幼なじみで完結。 幼なじみは、別クラスの人気者(だとオイシイ。私が)
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