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Goodbye, my friend.
「なー」
「ん」
「明日って創立記念日で学校休みじゃん?」
「そうな」
「どっか行かねぇ?」
「どっかって?」
「どっか」
「…………」
「………イヤ?」
「…別に」
「よしゃ。決まりな」
「おー」
「じゃ、夜にでもラインするわ」
「おー」
よし、目的通り出掛ける約束は取りつけた。デートだデート。
あいつが好きなアクション映画のシリーズが先週から上映してるから、まずそこ行って。
顔に似合わず甘いのが好きだったりするから、雑誌にも取りあげられてたケーキ屋さん寄って。
帰りはちゃんとあいつを家まで送って。
あいつの家に着く直前に、告白をしよう。よし。
──なんて、計画という名の妄想をしていたら、いつの間にか翌日の朝がきていた。
「おはよ。て、寝不足?」
「おー、ちょっとな…」
「大丈夫か?」
うわ心配してくれてる優しい好き。
思わず口から飛び出そうになった感情を、すんでのところで飲み込む。危ない危ない。
「…あ、ねえ」
「え、なに?」
「朝から何も食べてないから、どっか寄ってい?」
「あ、うん」
あいつが空腹を訴えてきたので、ファミレスに寄ることになった。
待ち合わせ場所から徒歩5分でつくそこに入り、隅っこの静かなテーブルに座る。
「ハンバーグで。お前は何か注文する?」
「飲み物だけでいいわ。…コーラお願いします」
注文を繰り返したウェイトレスさんは、仕事用であろう笑顔を浮かべた後「少々お待ちください」という言葉を残して去っていく。
ウェイトレスさんの姿が見えなくなってから、あいつは向かい側に座る俺の頭をポンポンと撫でてきた。
「え?」
「料理がくるまで寝てれば?」
なんだと目を向けると、投げられるその言葉。
ああ、もう、ホント、
「好き」
Goodbye, my friend.
「俺も」
── Hello, my honey.
お題元:26度の体温
一途×無気力
攻めの一方通行と思わせときの実は両想い。
久方ぶりの攻め視点でお送りしました。
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