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「え、やっだ。本当に!?」
「はい」
どうしてシュウコがそんなに驚くのか不思議だ。
「何の因果で姉弟なのよ……」
「因果って……」
その時、ナツキさんが勢いよく扉を押し開け高らかに笑いながら入ってきた。
後ろに斑目さんの姿はない。
「どうもこうもあなた、年下の男が好きなようね?」
シュウコは顰めた顔を繕いもせずに、ナツキさんに向き直る。
もしかしなくても二人は犬猿の仲のようだ。
「大きなお世話です。では失礼いたします」
一瞬だけこちらを見たシュウコは口角を上げ、軽く頭を下げると出て行く。
ナツキさんと二人残された応接室は何とも言えない雰囲気だ。
「お姉さんは元気?」
「あ、はい」
彼女は気怠そうに煙草に火をつけると、遠い目をして窓の外に目を向ける。
彼女、だよな?
テレビでよく見るオネエという人種、だよな?
「そう。なにも、変わりはない?」
「いつも通りですけど……」
と、答えてふと思う。
なんとなく、変だ。
「なら、良いのよ」
何が良いのか聞いても良いものか。
この人はきっと何かを知っている。
姉に何か変わりがあってもおかしくはないことを。
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