初まり

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「失礼、初めまして、哀さん。東雲久喜ともうします。」 哀は戸惑い、おろおろしながらも辺りを見回し、紅蘭を探した。が、いるはずもなく、一人でどうにかしなければいけなかった。 「嗚呼、貴方の事はよく知ってますよ、秋月哀さん。10歳、身長は135cm、体重を言うのは失礼ですので省略しますね、で、両親は離婚、父に育てられた。が、虐待をするほど最低な人。そしてーーー」 「哀、」 話の最中に何処からともなく紅蘭が現れ、抱き寄せられた。哀は何も抵抗せず、動かず、されるがままだった。 「秋月柊の兄、で間違いないですよね?」 紅蘭が現れたのにもかかわらず東雲久喜は話を続けた。紅蘭はさっきを放ち、哀は固まっていた。哀の記憶の端に、思い出したくないはこの中に入れてた名前がでて来たから。哀は混乱した。頭が真っ白になった。 「哀…?おい、哀」 哀は頭の整理をした。どうして目の前にいる東雲久喜が柊のことを知っているか。というか生きているのか。 「哀から離れてくれる?狐野郎」 物陰からでて来た見た目は人間のその人は紅蘭に銃を向けた。哀は初めて見た銃がどんなことをして使うのかよくわからなかった。が、その人間はすぐに銃を使った。目には追えない速さで何かが放たれた。それは紅蘭に横の気に当たり、木には穴があいた。哀はすぐに危険なものだとわかった。 「あ?この俺にそんな口聞いた上に銃をぶっ放すとかいい度胸してんなぁ…ああ?」 「は?何狐ごときが」 狐ごときと言う言葉に紅蘭はぴくりと反応し、苛立ちを隠せなくなって行った。哀を少し力強く抱き寄せると紅蘭はただの狐から九尾になった。苛立ちを隠せなくなった紅蘭は相手を殺す気だというのは哀にもわかった。 「一応名を聞いてやろう、クソガキ」 「嗚呼、自己紹介をしておこうかな、僕の名前は秋月柊、この東雲久喜の契約者で、哀の実に弟だ」
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