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子供は何もせずにただおとなしくしていた。でも顔の、目を隠している包帯を触られた瞬間子供は拒絶した。男にとって初めて人らしい行動だった。
「それ外さねぇと髪洗えねぇだろ?俺に取られるのが嫌なら自分で取れ」
そう無愛想に男が言うと子供は背を向け自分で包帯をとり始めた。男はじっと背中を見ながらとり終わるのを待った。
子供が男の方を向いたとき、子供は目を手で隠していてもう片方の手で包帯を持って何処か怯えているような顔をした。男は構わず包帯をとって何処かへ行った。
子供は男のその行動を拒絶されたと捉え、やっぱり包帯を外すと人に拒絶されるんだ、という解釈をした。
「何しょげてんだよ、もう十分温まっただろ、洗うぞ」
そう言って男はシャンプーハットらしきものを子供につけて髪を洗い始めた。子供は疑問符を浮かべながら片手で目を抑えながらされるがままになっていた。
男はなるべく優しく髪と体を洗ってやった。もう一度湯につからせると男は風呂場からいなくなった。子供はどうしていいか分からずとりあえずじっと風呂に浸かっていた。
透明な湯に映る自分を眺めては気分を落とした。しばらくすると男が帰ってきた。服や包帯を持って。
「服と包帯置いておくから自分で着てそっちのドアの奥に来い」
なんで、子供がそう聞く前に男はせっせといなくなった。子供は言われたとおり湯からでて服を着た。が、どうやら子供用ではないらしくシャツを着ただけで膝までの長さがあった。
一応ずぼんも用意されていたがやはり子供用ではないのでずり落ち、意味はなかった。とりあえずシャツだけ来た子供は必要最低限の部分だけ包帯を巻いた。
今まであまり外の空気に触れたことのない皮膚は白く、痣が目立っていた。目も隠し終えると一応近くの鏡で全身を見て、ちゃんと包帯が巻かれているかを確認し、ドアの奥に行った。
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