春の旅立ち

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「おい、お前らが長かったせいでギリギリになっちまったぞ。」 拓斗が半分イライラした顔で半分笑った顔をしながら言った。 「とか言いながら、私には早くしないと遅刻だぞって言ってきたくせに、茉衣には何にも言わなかったよね~?」 「ばっ…!それは茉衣が泣いていたからで…」 「あーはいはい、愛の告白は後でゆっくりさせてあげるから笑」 「いや、時間ねーよ!」 「突っ込むところ違うよ?!」 私が慌てて言ったが 「あ?笑認めたー!」 花波が今年最高の笑顔というレベルの笑みを顔中に広げた。 「花波あげあしをとるなって~」 あまりにも拓斗がしょんぼりしたのが、可哀想だったのか花波がごめんね。って謝ると 「やーい、引っかかってやんの。別にこんなの痛くも痒くもないし!あっかんべーだ。」 すこし嬉しそうに舌をだす拓斗。しかし、拓斗に待っていたのは 『おまえはガキか!』 わたし達二人による突っ込みだった。 「え、ちょ。ふたりでそろえて言わなくてもよくない?」 そんな風にわいわいはしゃいでると、3人でふざけあっていた懐かしい時を思い出す。 「ん?茉衣?どーしたの?」 ぼーっとした私を心配したのか花波が声をかけてきた。 「ん?いや、なんか懐かしいなって」 「いや、まだ懐かしくはねえだろ。だってついこの前もふざけあっていたじゃん。」 「いや、そーなんだけどさ。しばらくはこんなやり取りできないのかなって思うと…」 「もう!茉衣はすぐ感傷的になるんだから」 「まあ、でも確かにお前らは東京へ行き、俺はここに残って働くからしばらくは会えないな。」 「でしょ?」 「だからってしんみりするのには早いと思うぞ」 「もう、みんなしてひどいんだから」 「あ?、茉衣が拗ねたー笑」 …………… 中でそんなやり取りをしながらも進んでいた車は、もうすぐ空港に着こうとしていた。
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