第3章

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桜は散り、新緑の季節が訪れていた。 雨天は学生達の体力とやる気を削り、中弛みが目立ち始める。 琳浚高校では、その中弛みを防ぐべく対策がとられている。 脱靴場から入ってすぐの全校共通掲示板には、いつになく人だかりができていた。 お知らせの掲示物と共に、黙って何かを待っている提出ボックス。 二年生達はぞろぞろとその箱へ二つ折の紙を落としている。 「無人島合宿?」 「一日目、全員参加の鬼ごっこ。  二日目、班毎で自給自足。  三日目、反省会。  …尚、一、二日目の晩は  学習時間とする…だってさ」 人込みに押し潰されそうになりながら、渚と一流は掲示を読もうとしていた。 そんな姿を見るに見兼ねた槙が、二人を引っ張り出す。 「やめときなさい。潰されるわよ」 「二人ともあの中入ろうとしてたの?  チャレンジャーだねぇ。  あんなことしなくても、  うちらにはコノ人がいるじゃあないか!  ねえ?」 メグムが槙に抱きついて笑った。 ぽかん、としている二人を見て、槙は一枚の紙を鞄から出す。 ―――掲示と全く同じものだ。
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