第2章

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私立琳浚高校。 文武両道が基本、進学コースは彼の有名大学に最も近い場所と呼ばれ、体育コースは全国から選りすぐりの選手だけが入ることを許される ―――そんな所に、小三から始めたバスケくらいしか取り柄のない、平々凡々な十五歳、佐藤渚はウッカリ合格してしまった。 しかも、よりによってダメ元で受けた一般入試で進学科に。 「ねえねえ、佐藤クンって、  外部からわざわざ受けてきたんでしょ?  頭いいんだねぇ」 「いやいや、全然。  機械ミスなんじゃねぇの。  とってもじゃないけど、  実力で受かったとは思えねぇもん」 「そうなの?でもじゃあ、なんでわざわざ」 隣に座る女子。 驚くでもなく、侮蔑するでもなく受け答えをするところを見ると、もしかしてこういう事は決して稀なことではないのかもしれない、と思えてくる。 「幼馴染がさ、  スポーツ推薦で此処決まってたんだよ。  調べてみたら結構おもしろそうだったし、  親にも猛プッシュされちまって。  まぁ私立だし、ダメ元でもってことで受けてみたわけ」 まさか、本当に合格し、同じ学校に通うことになるとは思ってなかったけど。 苦笑し、机に肘をついた。 そして思う。 結局、ずっと同じ学校で、アイツらと比べられ続けるのか、と。
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