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一流は馴れた手つきで寄ってくる女子達を避け、渚の前に立つ。
「お前のハトコ、
この間の実力試験満点採ってたじゃん!
掲示板見た?」
「あぁ。そーいや言ってたな、そんなこと。
鼻高々ふにぃっ…!!」
バコーンッ!
丸めた教科書が渚の後頭部を襲う。
感心するほどいい音がした。
「悪かったわね、鼻高々で。
後ろに座ってるの、忘れてました?」
鼻を鳴らして憤慨しているのは渚の母親の従姉妹の娘、所謂”はとこ”というものになる、唯間槙(ただまこずえ)だ。
槙は渚と同じ進学コース一年三組。
小学校、中学校でも最高成績を残し、中学では女子校の生徒会長として多くの業績を築いた。
勿論この学校においても、彼女の名を知らない者はいないに等しい。
「何で俺の周りにはこう、
すげぇ奴が多いんだろ……」
呟く渚を無視し、槙と一流が話に華を咲かせていた。
「先週渚の引越しの手伝いしたんだけどさぁ、
こいつ わざわざ〈マイマグカップ〉なんか
持ってこようとすんの。
それくらいこっちで買えって思うよなー。
荷物になるし割れるかもだし。
しかもさぁ、荷物の中に熊のぬ…――」
「ぅおいっ!待て、それは待て!!」
ろくでもない話をしていることに気付き、止めに入る。
が、時すでに遅し。
「ちょっと黙りなさいよ渚。
高橋くんの話、途中なんだから」
「そぉーじゃないだろ!!」
「ん…?」
ある席が一流の目に留まる。
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