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どれ?一流が顔を寄せる。
「これ。イツも本気出して女装すりゃ
こんぐらいにはなんじゃねぇの?」
「喧嘩売ってんのか?」
「冗談だって」
怒んないで、一流クン、恐いんだから 。
渚がふざけると、彼は渚からひったくった雑誌を丸めて後頭部を殴った。
雑誌を開き、ぱらぱらとページをめくる。
女の表情はくるくると変わり、見ているものを飽きさせない。
一体、いくつの人格を持っていたらこうなるのだろうか。一流は思った。
「へぇ、可愛いじゃん」
一流が呟くと、渚は目を丸くして覗き込む。
「マジで?いや、可愛いけどさ。
イツが興味持つとか珍しくね?
そんなにかわいいか?」
「実物に会ったら惚れるよ?ね!」
「そうね、
高橋くんがどうかは…分からないけど。
あぁでも、くれぐれも手を出さないで頂戴ね。
スキャンダルで困らされるのは、
あの子の方なんだから」
「ハイハイ。分かってるって。
お前はマネージャーか」
バンッッッ
渚の皮肉を遮るように、勢いよく開かれた教室の扉。
飛び込んできたのは、今しがた紙面で確認した少女に間違いない。
彼女の放つオーラが、一瞬でそう感じさせた。
「こずえっ!この、馬鹿っ!」
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