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彼女は体勢を整えると、真っすぐ槙の方へと歩いた。
「親友が困ってたら、
助けるのが人情ってもんでしょーがっ!」
まるで幼い子どものような、どこかじゃれた言い方をする。
槙は笑って「先輩と話してただけでしょ?」と返した。
「あたしがあの先輩苦手なの、
知ってるでしょう?」
大変だったんだから。
文句を言いつつ笑う彼女の顔はわりかし穏やかで、透き通るその声が心地よいと、その場の男子生徒たちは感じた。
「メグム!卒業式ぶり!」
「この前の雑誌の表紙、
凄く良かった!写真集も買うね!」
「来週から始まる連ドラ、主演って本当?
聞いてないよ~」
次々と声を掛ける女生徒達。
彼女たちは初対面ではないようだ。
一流が近くにいた知らない生徒に声を掛ける。
「有名人だから?
それとも知り合い?」
「あぁ、そっか。知らないんだ」
一流が声をかけたその女生徒が、意味深な笑みを浮かべた。
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