第2章

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彼女は体勢を整えると、真っすぐ槙の方へと歩いた。 「親友が困ってたら、 助けるのが人情ってもんでしょーがっ!」 まるで幼い子どものような、どこかじゃれた言い方をする。 槙は笑って「先輩と話してただけでしょ?」と返した。 「あたしがあの先輩苦手なの、  知ってるでしょう?」 大変だったんだから。 文句を言いつつ笑う彼女の顔はわりかし穏やかで、透き通るその声が心地よいと、その場の男子生徒たちは感じた。 「メグム!卒業式ぶり!」 「この前の雑誌の表紙、  凄く良かった!写真集も買うね!」 「来週から始まる連ドラ、主演って本当?  聞いてないよ~」 次々と声を掛ける女生徒達。 彼女たちは初対面ではないようだ。 一流が近くにいた知らない生徒に声を掛ける。 「有名人だから?  それとも知り合い?」 「あぁ、そっか。知らないんだ」 一流が声をかけたその女生徒が、意味深な笑みを浮かべた。
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