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訊ねられた女は、メグムと呼ばれる彼女にあまり興味がないのか、どこか冷めた口調で説明した。
「この学校の進学コースはさ、
鈴峰女子中学と早見中学
ってトコの卒業生が殆どを占めてて、
外部からはあんまり人、
来ないんだよ。彼女も鈴女卒。
だからみーんな、オトモダチ」
「ナルホド」
何かが彼の興味を惹いたらしく、
頬杖を吐き「俺も一般で受けりゃ良かったかな」と余裕発言。
底辺を彷徨っている渚への配慮は全くない。
渚も、今さら特にそれで嫌な気分にはならない。
「多分一般でも受かっただろうな。イツは」
「体育コースも面白いけどな。楽だし」
昔から変わらない、悪戯っぽい笑み。
渚は遠い記憶の、あの黒髪の少女を想った。
あの少女は、今頃どこで、何をしているのだろうか?
*
「なぁ、先生と喧嘩って、何したの?」
休憩時間に槙とメグムの三人で話をする機会があったので、渚はそれとなく聞いてみた。
メグムは嫌な顔一つせず答える。
「喧嘩って程のものじゃないよ。
仕事と出席できるであろう日数について、
学校側から理解が得られなかったから、
すこーし、揉めただけ」
メグムは苦笑すると、ちゃんと和解したけどね!と付け加えた。
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