第2章

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 ファンだって言ってくれてる人たちに  最高の写真を魅せることだけが、  唯一私に出来る  この世界に生まれたことへの感謝と贖罪。  琳浚に胸張って通えるくらいの  知能ではあるつもりだけど、  それを世の中に役立てられる  自信もないしさぁ。  今のところ学業に心配はないし、  続けられるところまでは  続けるつもりだよ。今のシゴト」 自分に合ってるし。斜め四十五度に傾いた彼女の顔。 強気の笑みに圧され、思わず息をのんだ。 暖かい春の日差しの中を、心地よく風が吹いた。 と、背後に突然気配を感じ、渚が振り返ると、 そこには先ほど教室で琳浚進学コースの正体を語った女の姿。 「唯間、これミキさんに渡しといて。  あと、今日シゴト休むって。ヨロシク」 そう言って槙の前に分厚い茶封筒を投げる。 封筒には何か重要な書類でも入っているのか、開封厳禁の赤い文字。 口はしっかり糊で閉じられ、刃物で切らなければ開きそうにない。
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