14人が本棚に入れています
本棚に追加
桜は散り、新緑の季節が訪れていた。
雨天は学生達の体力とやる気を削り、中弛みが目立ち始める。
琳浚高校では、その中弛みを防ぐべく対策がとられている。
脱靴場から入ってすぐの全校共通掲示板には、いつになく人だかりができていた。
お知らせの掲示物と共に、黙って何かを待っている提出ボックス。
二年生達はぞろぞろとその箱へ二つ折の紙を落としている。
「無人島合宿?」
「一日目、全員参加の鬼ごっこ。
二日目、班毎で自給自足。
三日目、反省会。
…尚、一、二日目の晩は
学習時間とする…だってさ」
人込みに押し潰されそうになりながら、渚と一流は掲示を読もうとしていた。
そんな姿を見るに見兼ねた槙が、二人を引っ張り出す。
「やめときなさい。潰されるわよ」
「二人ともあの中入ろうとしてたの?
チャレンジャーだねぇ。
あんなことしなくても、
うちらにはコノ人がいるじゃあないか!
ねえ?」
メグムが槙に抱きついて笑った。
ぽかん、としている二人を見て、槙は一枚の紙を鞄から出す。
―――掲示と全く同じものだ。
最初のコメントを投稿しよう!