第3章

5/23
前へ
/164ページ
次へ
楽しさを知らない鈴女以外からの一年生も、この時期なら大抵何らかの部活に属しているので、先輩達からその評判を知る。 しかも、丁度中間考査前でテストへのモチベーションも高まる。 「なるほどなぁ。琳浚で欠点採んな  っつったら結構大変だもんな」 「確かに…考えたヤツ怖ぇぇ」 メグムと槙が目を見合わせて、肩を竦めた。 その目に悪戯な笑みが浮かぶ。 「まぁ精々頑張んなさいな。  私たちは正直余裕だから」 槙は肩に乗るメグムを手で払うと、立ち上がって教室を出た。 開けたドアから、気持ちのいい風。 机上のプリントが空を舞う。 「てゆか、部活の先輩とかから  話聞いたりしなかったの?」 床に落ちた紙を拾い上げながらメグムが言った。 「聞いてねぇなー。イツは?」 「アノヒトがそーゆーことに  興味があると思うか?」 一流は頭の後ろで手を組み、つまらなさそうだ。 渚が「他にもいんだろ、先輩は」と言って軽く頭を横から小突くと、そうだけど、と口を尖らせる。 二人の過去を知らないメグムは、ここぞとばかりに食い付いた。
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加