第3章

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「何々?アノヒトって?  もしかして高橋のカノ――」 「せ、ん、ぱ、い!!彼女じゃねぇ」 なぁんだ。メグムが頬を退屈そうに膨らませる。 「二年の体育コースに、  俺らと同じ中学の先輩がいんだよ。  幼なじみなんだけど」 「フウン。  天才の周りは、天才ばかり、ってか」 メグムがぼんやりと呟いていた。 * 平々凡々な高校生、佐藤渚にこの年一番初めの地獄が訪れたのは、中間考査のテスト返し直後。 槙の母親が働く定食屋で、客足の減った頃に集まり、テストの見直しをしている時だった。 「あんた何考えてんの!?  中間でどんだけ落としてんのよ!  バカ?バカなの?あーバカだもんね、  渚だもんね!!  精々夏休みは学校で補習受けてなさいよ。  欠点まであと百点君!」 期末の受験科目は十。 残り百点となると、期末で落とせるのは一教科につきわずか十点となる。
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