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外は曇っているのだが、クーラーのついていない部屋は窓を全開にしてもまだ暑い。
渚の手がテレビのリモコンに触れてたまたまついたチャンネルは、丁度ニュースから天気予報に替わるところ。
天気図の読み方などこれっぽっちも知らない三人だが、“台”と書かれた赤い丸があることから、台風の訪れは何となく感じた。
『それよか聞ーてよ。今日夏祭りじゃん?
お母さんが浴衣作ってくれてさ!!
ちゃんとナックンの分もあるよ』
コップの結露で濡れた机をティッシュで拭きながら、双子の妹の方が母親似の笑顔で言った。
父親譲りの青い目がキラキラと光る。
『へー!珍しーこともあんだなぁ。
明日、雨降るんじゃね?豪雨じゃね?』
『ほ~……
渚ぁ、それはどういう意味?
一応聞いてやるから、説明してみな』
背後に阿修羅王の気配。
一瞬にして、渚の『ギブアップ』がコールされた。
『身支度するよ。イツと渚はリビング。ミチはこっちおいで』
『はぁい!お母さん大好き!』
『お母さんもみっちゃん大好きぃ~』
『…………また始まった』
少女は少年たちの頬に軽くキスをすると『待ってて!』と言って笑顔で手を振りリビングの隣の和室へ入る。
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