第1章

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外は曇っているのだが、クーラーのついていない部屋は窓を全開にしてもまだ暑い。 渚の手がテレビのリモコンに触れてたまたまついたチャンネルは、丁度ニュースから天気予報に替わるところ。 天気図の読み方などこれっぽっちも知らない三人だが、“台”と書かれた赤い丸があることから、台風の訪れは何となく感じた。 『それよか聞ーてよ。今日夏祭りじゃん?  お母さんが浴衣作ってくれてさ!!  ちゃんとナックンの分もあるよ』 コップの結露で濡れた机をティッシュで拭きながら、双子の妹の方が母親似の笑顔で言った。 父親譲りの青い目がキラキラと光る。 『へー!珍しーこともあんだなぁ。  明日、雨降るんじゃね?豪雨じゃね?』 『ほ~……  渚ぁ、それはどういう意味?  一応聞いてやるから、説明してみな』 背後に阿修羅王の気配。 一瞬にして、渚の『ギブアップ』がコールされた。 『身支度するよ。イツと渚はリビング。ミチはこっちおいで』 『はぁい!お母さん大好き!』 『お母さんもみっちゃん大好きぃ~』 『…………また始まった』 少女は少年たちの頬に軽くキスをすると『待ってて!』と言って笑顔で手を振りリビングの隣の和室へ入る。
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