第3章

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メグムが「槙ママの晩ご飯大好き!」と言う。 「ふふっ。ありがとう。  メグム専用の味付けよっ」 「お母さんは甘やかしすぎよ」 槙の母は目尻をさげてふふっ、と可愛らしく笑う。 その顔に一流は槙の面影を見た。 「唯間は母ちゃん似だね。  たれ目で笑うとおっとりする。  そういうトコ、誰かさんのオカンにも  似てるってこの前思ったんだよな」 「あー。言われてみりゃそうかもな。  母さんも笑うとおっとりした雰囲気。  普段はただのアホっぽいオバサンだけど」 「そう…かなあ……」 槙は自分の母親の顔をじっくり見てみた。 たれていてあまり大きくない目。 いつも穏やかに微笑んでいる口元。 笑っていなくとも、この人はいつもおっとりしている。 「アラアラ、渚くん。  “オバサン”なんて呼んだら  お母さん怒るわよ~。  ふふふ。  一流くんの“オカン”も  許してないでしょうに」 よく知ってんなあと、けらけら笑いながら単純に驚く渚。 「あれ、俺名前言いましたっけ?」 一流も驚きを隠せないようだった。
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