第3章

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「………知ってるわ。  槙の母で、渚くんのお母さんとも  仲良しだもの。  一流くんのお母さんにも会ったことあるわ。  私ばかり知ってるのは…不公平かしら。  なんなら、  この場で自己紹介大会でもしちゃうっ!?  マナも混ざりなさいよ」 「いえ、あたしはいいです」 槙の母親に呼ばれた女は、振り返ることもなく返事をし、淡々と皿洗いを続ける。 「ああ見えて恥ずかしがり屋なの」と言う声が聞こえたのか、ミキさん!とだけ言って振り向いた。 「あ。お前同じクラスの…」 「あれ?佐藤今気付いたの?  さっきご飯運んできたのも  はーちゃんだよ?」 「私と口喧嘩してるの、見てたでしょ。  もう忘れたの?」 言われて、数分前のことを思い出す。 「おー!」 「その注意力のなさは死を招くよ」 渚が納得すると、冷たい言葉が飛んできた。 場の空気を切り替えようと、一流が苦笑いで手を叩く。 「いいじゃん。自己紹介大会?  やろやろ。  俺渚のこと以外よく知らねぇし」 「ごゆっくり」 賛同した一流を無視し、食器を洗い終わったバイトの女は立ち去ろうとする。 それを、水のお替わりに立っていた渚が止めた。
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