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「………知ってるわ。
槙の母で、渚くんのお母さんとも
仲良しだもの。
一流くんのお母さんにも会ったことあるわ。
私ばかり知ってるのは…不公平かしら。
なんなら、
この場で自己紹介大会でもしちゃうっ!?
マナも混ざりなさいよ」
「いえ、あたしはいいです」
槙の母親に呼ばれた女は、振り返ることもなく返事をし、淡々と皿洗いを続ける。
「ああ見えて恥ずかしがり屋なの」と言う声が聞こえたのか、ミキさん!とだけ言って振り向いた。
「あ。お前同じクラスの…」
「あれ?佐藤今気付いたの?
さっきご飯運んできたのも
はーちゃんだよ?」
「私と口喧嘩してるの、見てたでしょ。
もう忘れたの?」
言われて、数分前のことを思い出す。
「おー!」
「その注意力のなさは死を招くよ」
渚が納得すると、冷たい言葉が飛んできた。
場の空気を切り替えようと、一流が苦笑いで手を叩く。
「いいじゃん。自己紹介大会?
やろやろ。
俺渚のこと以外よく知らねぇし」
「ごゆっくり」
賛同した一流を無視し、食器を洗い終わったバイトの女は立ち去ろうとする。
それを、水のお替わりに立っていた渚が止めた。
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