第3章

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「私たちはいいけど、家は分かるの?」 「大丈夫だろ」 これから来ようとしているダイスケとマモルは、以前渚と一流がメグムに話していた同じ中学に通っていた先輩たちだ。 その二人のことも息子のように可愛がっている渚の母親は、上京する直前「何かあったら遠慮なく頼りなさい」と言って、従姉妹である槙の母を紹介していたのだ。 説明を聞いた女子三人がふうん、と曖昧な相槌をうつ。 メグムがコップの縁をなぞる様子を、未だ名前不明のバイトがじっと見ていた。 静かな時間が流れる。 「こずえー!渚くんたちのお友達!」 扉の外からする母親の声に反応し、槙が立ちあがった。 人やコップの間を縫って歩く。 ドアを開くと、新たなお茶を持った母親。 その後ろで、背の高い二人の男子高校生が軽くお辞儀をしていた。 「おお!母親似で可愛いっすね!  さすがミキさんの娘。  俺、橘大介(タチバナダイスケ)。  下は二歳下から上は十五才上まで  幅広く受け付けてます!仲良くし……」  バシッッッ 黒髪で長身、左目の下に泣き黒子のある優しそうな男が一歩前へ出ると、言葉を遮るように後ろの人物が頭を叩く。 「恥ずかしい挨拶してんじゃねーよ」 下がった頭の後ろにのぞいた顔は優美であるものの、どこか鋭さがある。 メグムが「イケメンだね」、とバイトに耳打ちした。
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