その口撃イエローカード

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ソファに座る。 ビール片手にその体を前に倒し。 両腕は膝に置く。 長い足に乗せられた長い腕が時々伸ばされるのは。 その先にあるローテーブルの上。 これもまた長い指が箸を持ち上げ。 今度は出し巻き卵をつかんだ。 「ん、うめぇ……っ!!よし!!いけ!!」 その声に囚われていた視線を彼と同じ方に向ければ。 「きゃーっ!!陸ー!!」 その画面で動く人物は、私たちの仲間。 「蒼、蒼!今の陸のシュート、惜しかったね!」 「だな。もうワンクッション置いてからでもイケたんじゃねぇか」 私たちが今夢中になっているのは。 陸……佐藤陸の出てるサッカーの試合。 最近毎試合ごとにスタメンに選ばれるようになってきた彼は、チームの“司令塔”というポジションらしい。 土曜日の今日。 テレビ放送される試合は陸のチームで。 普段それほどテレビはつけないのだが、こういうときは別だ。 早めにお風呂まで入って。 リラックスムードで迎えたこの時間。 その代わり遅い食事は居酒屋仕様。 飲み物に、おつまみ。 時々、絶叫。
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